中学生にわかる刑法の仕組み
No1 No2 No3 No4 No5 No6
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No1

刑法の世界で、「犯罪を犯した」、だから、「処罰します」、、、
というためには、

大きくわけて、

3つの条件というか、3つの要件に当てはまることが必要であると されています。 

まず、一番目の条件というか、一番目の要件は

刑法の条文に書いてある「構成要件」というものに「該当する (あてはまる)」ということです。

わかりやすい例として、刑法199条を見てみましょう。

(殺人)
刑法199条  人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

殺人という犯罪の場合の、「構成要件」は

「人を殺す」

ということです。

まず、、「人を殺す」という構成要件に、該当する、あてはまる行為をしたことが要件となるのです。

しょうもないことを言うな!!

と言わないで、欲しいのです、、、

この、構成要件にあてはまる、該当することが、、必要であるということが

刑法、刑事法の根幹にある、とっても、大切なことなのです。

この単純そうに、みえるところで、、、

数え切れない刑法の理論の論争がなされているのです。

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No2

一 正犯と共犯(幇助犯、教唆犯)など
 
  前注・・・わかりやすいように、原則として、殺人の罪を例示して説明していくこととします。
 
1 No1で、お話しましたように、犯罪というためには、刑法の構成要件(人を殺す)にあてはまる行為をすることが必要です。
 
  この、構成要件にあてはまる、具体的な行為のことを、刑法の世界では、「実行行為」と呼んでいます。
 
  殺人という罪の構成要件は「人を殺す」ということですが、その構成要件にあてはまる「実行行為」には多種多様なものがあります。

  例えば、「拳銃で人の胸部を撃つ」、「紐で人の首を締め続ける」、「電車が接近しているときに、人をプラットフォームから電車の直前に突き落とす」、「包丁で人の胸部その他の枢要部を突き刺す」などの行為です。
 
(正犯)
  この実行行為をした人を「正犯」と言っています。「殺人の実行行為をした者」を「殺人の正犯」というのです。


(幇助犯、従犯)
  他方、実行行為をしてはいないが、正犯が実行行為をすることを「助ける行為」をした者を「助けた犯罪」、「幇助犯」又は「従犯」といいます。「殺人の幇助をした罪」になるのです。
  殺人の実行行為をした正犯の刑を、減刑して処罰される、こととなっています。
 

 (幇助)
  刑法62条1項  正犯を幇助した者は、従犯とする。

  (従犯減軽)
  刑法63条  従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。
 


(教唆犯)
  また、実行行為をしてはいないが、正犯が実行行為をすることを「そそのかす行為」をした者を「そそのかした罪」、「教唆をした罪、教唆犯」といいます。「殺人の教唆をした罪」になるのです。
  殺人の実行行為をした正犯の刑と同じ法定刑のなかで処罰される、こととなっています。

  (教唆)
  刑法61条  人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
 
  以上のとおり、「犯罪の構成要件にあてはまる行為をしたのか否か」、「犯罪の構成要件にあてはまる行為をしてはいないものの、そそのかす行為をしたのか否か」、「犯罪の構成要件にあてはまる行為をしてはいないものの、正犯を助ける行為をしたのか否か」などを検討して、殺人の正犯なのか、殺人の教唆犯なのか、殺人の幇助犯なのか等を判断していくのです。
 
  このように刑法に規定されている「犯罪の構成要件にあてはまる行為、実行行為をしたのか否か」ということが刑法の世界では最も重要なこととなるのです。

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No3

(共同正犯)

 NO2で、理解して頂いたものと思いますが、殺人という犯罪には、殺人の正犯、殺人の教唆犯、そして殺人の幇助犯という3種のものがあることとなります。

 

2 複数人による犯行の場合

 犯罪には、正犯、教唆犯、そして幇助犯という類型があることを理解して貰ったと思います。
  この3種類の類型の犯罪について、必ずしも、一人で行うとは限りません。二人で、三人で、又は五人で行う場合もあるでしょう。

(実行共同正犯)
  刑法60条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

 「犯罪の実行行為」を、複数の人間で行った場合、「共同して正犯としての実行行為をした」という意味で、これらの複数の人間を、「共同正犯」というのです(実行共同正犯)。

 正犯の要件である「実行行為」を複数の者が、「全部を共同して実行する」、「一部を分担して実行する」というような場合です。二人で紐での両端を持って首を絞めて絞殺したような場合などはわかりやすいでしょう。

 しかし、「複数の者が、共同して、実行行為をする」という場合、その実行行為を、一人で実行行為をする場合のように狭い意味で理解してはいけません。
  例えば、Aが被害者Cを射殺したような場合、被害者Cを射殺するためにAと一緒に行動していたBが、拳銃の発砲行為それ自体をしていなくても、射殺の意思で行動を共にしていた場合、「AB二人の行為を全体として評価し、実行行為を共同で行った」と評価するのです。
  難しいかもしれませんが、複数の者の行為については、「複数の者の意思、謀議の内容、、分担した客観的な行為などの全体を、社会的に見て、共同の行為か否か」を判定することとなるのです。

 

3 共謀共同正犯ー共謀に関与し、実質的に実行行為者の実行行為を支配しているような者の罪

 犯罪の事前の、計画、謀議、共謀に関与しているものの、殺人の実行行為の現場におらず、実行行為を分担しなかった者の罪は、どうなるのか。

 今までの説明内容からすれば、殺人の実行行為を分担していないのですから、共同正犯、即ち正犯とはならず、殺人の教唆犯又は殺人の幇助犯となりそうです。

 しかし、殺人の実行行為を分担していないが、
イ 犯罪の事前の、計画、謀議、共謀に関与し、かつ、
ロ 殺人の実行行為を実質的に支配していたような場合においても、
                         正犯とはならないのですか??

 例えば、暴力団組長が配下の組員に指揮、命令して対立抗争している暴力団の組長を殺させたような場合においても、殺人を指揮、命令した組長は「殺人の正犯ではない」という結論でいいのですか??

 このような疑問から、実行行為を分担しなかった者、実行行為前の事前の共謀に関与しただけの者についても、一定の要件を満たした場合には、共同正犯であり正犯であるとする、共謀共同正犯の理論が生まれてきたのです。

 

4 最高裁判所昭和33年05月28日判決

 共謀共同正犯という理論を認めた最高裁判所昭和33年05月28日判決の判示の内容は次のとおりです。

イ いわゆる共謀共同正犯が成立するには、二人以上の者が特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となつて互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よつて犯罪を実行した事実が存しなければならない。

ロ いわゆる共謀共同正犯成立に必要な共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない者でも、他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行つたという意味において、共同正犯の刑責を負うものでかく解することは憲法31条に違反しない。

 

5 共謀共同正犯理論が提起したもの

 共謀共同正犯というものを認めるということは


イ 正犯とは、一体、なんだろうか。
   正犯と共犯との差異はどこにあるのだろうか。

ロ 刑法60条の「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」というための要件は、一体、何になるのだろうか。

ハ 憲法31条(何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない)・近代刑事法の根本原則である罪刑法定主義との関係で問題はないのだろうか。

など多くの議論と解決すべき問題点を提起したのです。

 今から約30年前ころは、このような共謀共同正犯というようなものは「罪刑法定主義に反するものであり、認められない」というような見解が刑法学者のなかに相当あったように記憶していますが、現在の刑法学者は共謀共同正犯を認める見解が多数であるようです。
  犯罪の実行を支配する者に対する処罰感情や実社会を規制する最高裁判所判決の重みへの追従なのか、現在、共謀共同正犯を否定する見解は少数派となってしまったようです。

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No4

罪刑法定主義と刑法の解釈について

1 犯罪の成立要件のひとつである、刑法の条文に記載してある「構成要件にあてはまるということ」(構成要件に該当するのか否かという"構成要件該当性")については、近代刑事法の基本原則である「罪刑法定主義」、即ち、「どのような行為が犯罪となるのか」、「そして、犯罪となった場合、どのような刑罰を科すのか」ということが、「法律によって定められていなければならない」ということを、頭において、考える必要があります。

2 この罪刑法定主義という原則は、統治者、国家による恣意的な刑罰を排除し、「どのような行為をすれば処罰されるのか」ということを国民に事前に告知し、国民に予期せぬ刑罰を加えられるといった事態を避けさせるための刑事法の根本原則でもあるのです。

憲法31条
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

憲法39条
何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。

3 No3において、共謀共同正犯を認める考え方の根拠の一つとして、犯罪の実行行為を支配する者に対する"正犯としての処罰感情"、"処罰感情"があると説明しました。
本来、「処罰感情」というようなもので、刑法の構成要件についての該当性を考えることはおかしいのです。
国民が処罰感情を持つ行為があれば、「国会が、その行為を処罰するための法律を制定すればいい」のです。 
国会が処罰するための法律を制定していないにもかかわらず、裁判所が、既存の法律の解釈という名目で、処罰の範囲を広げることは、罪刑法定主義という刑事法の基本原則に反する行為なのです。

4 3記載のように、抽象的に、言葉として、「刑法解釈の、罪刑法定主義による、制限」を表現し得たとしても、実際の解釈には、やはり難しいところがあります。

イ 刑法の条文の記載、言葉、表現の理解自体、一義的に定まるとは限らないということ。

ロ 裁判所の解釈、裁判所の判決は、元々、法律の不備を補うという性格があることを全面的に否定できないこと。

ハ 刑法というような刑事法は、元来、国家統治の手段であるという側面があり、そのような性格を持つ刑法の解釈について、国民の裁判所に対する信頼を喪失させ、国家の存立を脅かすような解釈はとり難いという側面があることなどが理由です。

5 4記載の内容は、刑法解釈の議論というより、「法とは何か」というような法理学、法哲学の分野に入ってしまっているのかもしれません。
最終的には、「罪刑法定主義の役割」、そして「国民がどう考えるのか」というところで決着がつくのかもしれません。 
刑法も、法であり限り、「法とは何か」という根本から、自由であることはできないのかもしれないのです。

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No5

形式犯

一 犯罪についての分類の仕方

刑法が定めている、犯罪については、いろんな観点からの、分類の方法があります。 

その、たくさんある分類の方法の中で、形式犯(実質犯)というような言葉で、分類をする、分類の方法について、説明をします。

二 犯罪を定める規定が、守ろうとするもの(=法益)

1 刑法は、いろんな類型、いろんな型の、行為について、それを犯罪であると定め、そのような犯罪を犯した者に対し、死刑、懲役、罰金などの刑罰を加えると定めています。

2 「刑罰を加える」ということは、言葉を変えれば、国民に対し、「刑法で、犯罪として、定める行為を、してはいけない」と禁止、警告をしているのです。 

3 国民に「ある行為をしてはいけない」と定める刑法は、その定めにより、「何か」を「守ろう」としています。

(1) 「人を殺してはいけない」と定める殺人の罪は、それにより、「人の生命」を守ろうとしているのです。

(2) 「他人の家に、無断で、入ってはいけない」と定める住居侵入の罪は、それにより、「人が、住居のなかで、平穏に過ごすこと」、「住居の平穏」を守ろうとしているのです。

(3) 「他人の名誉を、毀損してはいけない」と定める名誉毀損の罪は、それにより、「人の、社会的な、評価」を守ろうとしているのです。

(4) このように、刑法、法律の規定が、守ろうとしているもののことを、「法律が、守ろうとしている、人間社会の、生活上の、利益」=「法益」と呼んでいます。

二 犯罪の構成要件(No1参照)の定め方は、その法益を侵害し、ないし侵害する危険性の発生を要件とするか否か等により、分類することができます。

1 実質犯

(1)構成要件に該当する行為をした場合、法益を「侵害」する犯罪行為・・・侵害犯

(2)構成要件に該当する行為をした場合、法益を侵害はしないが、法益を侵害する「具体的な危険」が生じる犯罪行為・・・具体的危険犯

(3)構成要件に該当する行為をした場合、法益を侵害はしないが、法益を侵害する「抽象的な危険」が生じる犯罪行為・・・抽象的危険犯

このように、法益を侵害するか、又は侵害する危険が生じさせる犯罪のことを実質犯と呼んでいます。

2 形式犯

構成要件に該当する行為をした場合、法益を侵害はしないし、法益を侵害する抽象的な危険も生じるとはいえない犯罪行為のことを形式犯と呼び、行政上の刑罰法規に多くみられます。

「法益を直接侵害はしないし、法益を侵害する抽象的な危険も生じるとはいえない行為」が犯罪とされるのは、それなりの理由があるのです。一例として、政治資金規正法は最高刑として禁固五年という刑罰を定めています。

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No6

犯罪の成否No1

1 メーリングリストの参加者が、他の参加者のメールアドレスを使用して、その特定の参加者の退会手続きを無断で行った場合、なんらかの犯罪が成立するのだろうか。

2 退会手続きをとった場合、ML管理者は、ML参加者として登録されているメールアドレスを、ML送信するメールアドレスを登録しているファイル(以下「MLファイル」と呼ぶ )から削除の措置をとるのだろうか?

3 MLに参加していて、MLからメールの送信を受けることは、社会生活上の利益であることは間違いない。
とすれば、MLファイルは「権利、義務に関する電磁的記録」に該当することとなるのか。 
ML管理者をして、MLファイルから特定のメールアドレスを削除させることは、ML管理者としてMLに参加しているすべての人にMLメールを送信せしめるという事務処理を誤らせることとなり、それを意図して行う上記の行為には、目的も認められるか。 

刑法所定の電磁的記録不正作出の罪が、ML管理者に対し、虚偽の情報を提供して、MLファイルの内容を不正なものに変更させる行為をも含むものとすれば、本件行為は、刑法161条の2所定の私電磁的記録不正作出の罪に該当し、最高懲役5年の刑となるのか?

刑法161条の2
人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

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