金利計算と閏年・端数処理について

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四 都市銀行等の元利金均等弁済について
      銀行等で住宅ローン契約をして金員を借り受ける際、銀行と話し合うのは、「返済期間、何年で返済するか」、「金利は年・・  %」なのか等である。
      銀行等との間で融資条件の話し合いがつくと、銀行等から「返済明細」と称する返済金額の一覧表が送付されてくる。これは借り受けた金員について、返済期日、返済金額、金利等が記載されている書面である。
      この元利均等弁済方式に関し、銀行等から送付されてくる返済金額一覧表は、特殊な方法による金利計算がなされている場合がある。
      私たちは、通常、銀行等との融資約定において、例えば「年利5%」で借り受けるという約定をした場合、銀行等から送付されてくる返済明細には、正確に年利5%で計算された金利金額が記載されていると考えるし、これを疑う者は少ないと思われる。
      しかしながら、銀行等から送付されてくる返済明細記載の金利の金額は、同書面に記載されているような、例えば「年利5%」というような金利計算はされていない。
      銀行等作成の金利は、年利でもなく、月利でもない、「約定書記載の年利を12分の1した数字」(以下「仮想月利利率」という)、例えば年利5%の場合、0.05を12分の1した0.004166666というような割合を残元金に乗じた金利が記載されている場合がある。
      著者が日本の都市銀行を調査した範囲内では、「元利均等弁済方式で利息金の後払い方式の場合」正確な年利計算をした金利金額を記載した返済明細表を見つけることはで きず、調査した返済明細はすべて右のような年利を12分の1した割合(仮想月利利  率) が使用されている。
      年利を12分の1すれば月利になるわけではない。
      年利を12分の1するという計算方法は、年利でもなく、月利でもない、いわば「仮想の月利利率」を金利計算に使用しているということとなる。
      年利ないし月利というのは、前記のとおり、「利息計算の単位期間」を年ないし月に求めるという考え方である。
      1年は12ケ月であっても、月には28日、29日、30日そして31日という月があり、そして、大審院明治38年12月19日判決「年利の場合でも・・・・、月利の場合でも、当事者間で特別の意思表示等をしない限り、日割り計算する」及び民法143条「期間を定めるに週、月又は年をもってしたるときは暦に従いてこれを計算する」を前提とすれば、月利計算の方法は前述したとおりであり、年利を12分の1することにより得られた数値には特別な意味は全くないものであり、これが月利になるわけではないのは明白である。
     年利とか月利という意味は、金利計算における「利率」と「その利率の単位期間」を総合した表現なのであり、単なる「割合」ないし「利率」のみを意味するものではな  いのである。
      年利を12分の1するということの意味は、強いていえば、月には28日、29日、30日そして31日という月があることを 否定し、1ケ月を30.4日(閏年の場合には30.5日)と擬制してしまうことにほかならないものであり、このような事実に反する擬制した数値を使用することにより正確な金利計算ができないことは論ずるまでもないことである。
      日本の都市銀行等大手金融機関は、その使用する計算ソフト及び汎用コンピューターが今日のように性能的に進歩していない時期に住宅ローン等の貸し金業務を始めており、当時の未発達のコンピューター時代に分割弁済計算等を開始しており、当時、正確な年利計算のソフトが開発されないまま、「日債銀総合システム株式会社編、発行所社団法人金融財政事情研究会」の「新元利均等償還テーブル」(住宅ローン必携)記載の賦課金率表記載の賦課金率を使用して元利金均等弁済方法の1回あたりの弁済金額を算出してきているためではないかと推測している。
      現に都市銀行等に問い合わせをすると、回答の殆どは「前記償還金テ−ブル記載の賦課金率を使用している」との回答であった。
      右の「償還金テーブル」の金利計算方法が前記のような仮想月利利率を使用していることから、都市銀行等はすべて前記のような仮想月利利率により金利計算をしてきているのではないかと推測している。
      前記銀行等の仮想月利利率による金利計算は「年利」という前提で計算すれば、各弁済期日毎の計算利息金額は、あるときは多すぎ、あるときは少な過ぎるという結果となっている。
      即ち、1年、365日を12で除すると30.4(閏年は366日であるから30.5)となるから、賦課金率表記載の金利計算をすると、1ケ月が28日,29日、そして30日の月の計算金利は正しい年利計算の金利金額より多額となり、1ケ月が31日の月は正しい年利計算の金利より少額となる。
      但し、年間12ケ月のうち31日の月が半数以上の7ケ月あること等から銀行等の計算による支払い利息金を合計すると、年利による計算利息金より若干少なめになる場合が多いことから、住宅ローン等を借り受けている借り主に不利益を加えているわけではなく、利息金が年利と比較して若干少ないというだけで大きな問題はない。
      但し、調査した範囲内ではあるが都市銀行のうち一行は、毎月、金利の金額を調整したうえ数百円という単位で返還計算する等しているようであり、右の銀行は「その採用している計算方法による金利金額が約定金利と異なる、「仮想月利利率」であることを認識し、右のような微調整をしているものと推測される。
      また、前記のように金額調整をしていない金融機関の場合にも、一括繰り上げ弁済をする場合において、弁済金額を計算し直し正確な計算をしておれば問題はない。
      本来、全銀行が右のような微調整をするか、又は住宅ローン等の借り主に対し、「弁済金額一覧表の利息金の計算方法を説明したうえ」その承諾を得るか、融資約定書の金利の利率を記載するところに正しい金利の利率を表示するか、又は、銀行等のコンピューターの計算システムを正しい年利計算システムに変更する必要があるものと思われる。
      ただ、都市銀行等のローン弁済においても、「利息前払い方式」の場合には、正確な 年利計算をしている例が見受けられるのである。何故、利息の後払い方式と前払い方式 とで異なるのか、著者は分からない。