「裁判員判決の量刑」 

2009.9.10
(2009.9.28追)

大阪弁護士会所属 弁護士 五右衛門


裁判員判決の量刑−No5

裁判員裁判における判決の量刑について、現時点において、 なんらかの結論 を出すのは、時期尚早というのが正しい。 裁判員判決の数が限られており、分析 するに足りる件数が欠けているというのが正しい。

しかし
現時点における裁判員判決の量刑の動向を見て見ると、下記「 大岡裁きと裁判員制度 」
に記載したような傾向が認められるようにも思う、、、、??!!

「行為と結果」を重視する、、職業裁判官

「犯行の経緯や背景事情等」を重視する、、裁判員

との
量刑を巡る、議論が行われていく!!



大岡裁きと裁判員制度
http://www.zunou.gr.jp/ hattori/oooka.htm

大岡裁きに国民が喝采をおくるのは何故なんだろう。

個別の、具体的な事件について、当該被告人、 裁かれる人の有利な情状等を重視して、一般的な量刑相場などを無視し、裁かれる人に利益な方向で、 裁き、判決をする。

その個別、具体的な量刑事情などが国民の同情を呼ぶ場合、 国民は大岡裁きを受け入れ、喝采と溜飲を下げる。

このような大岡裁きの場合、 一般的な裁きの量刑相場から乖離していることから、大岡裁きと称されるのかもしれない。
「大岡裁き」=「量刑相場と乖離した裁き、判決」

この大岡裁きは、言葉を変えれば、量刑事情として、「行為、 結果」よりも、「犯行の経緯や背景事情等」を重視した裁きという見方が可能かも。

刑罰法規は、行為と結果により法定刑を定めていることから、 基本的量刑事情が行為と結果であることは間違いないだろう。行為と結果により、 概ねの量刑が導き出され、そして行為と結果以外の量刑事情が加味されて、 宣告刑が導き出される。

ところが、大岡裁きは、行為と結果以外の量刑事情により、 その宣告量刑の内容を決定するという特色がある。
それは、量刑算定の基本原則を否定するところに特色がある。
そして、それは量刑相場を否定し、 裁きの公平性を喪失させるという側面があるのかもしれない。

大岡裁きができるか否かは、判官が、 量刑算定の基本原則を否定する勇気ないし無謀を保有しているか否かにかかる。

裁判員制度の導入を迎える今日
判官に、大岡裁きを求め、期待することがいいのか、悪いのか。

ひとつ言えるかも??
裁判員は
職業裁判官と異なり、 上記のような勇気と無謀を実践できるかもしれない??

http://www2.ocn.ne.jp/~zunou/ saibaninryokei.htm

 


4 大阪地裁の覚せい剤取締法違反事件、求刑の半分の懲役5年と いう量刑は裁判員の関与の影響があるのかもしれない。
 覚せい剤事件について、その覚せい剤の量が量刑の決定的要素とされてきていたように思えるが、今回の判決で、裁判員の常識的感覚が量刑を軽減させる方向に動いたのではないかと推測しているのだが、、、どうかな??
 「検察庁の内部のきまりで、判決が求刑の半分を切ったら、地方検察庁は高等検察庁へ報告することとなっていて大変である」と聞いているが、このような検察庁内部のきまりを知っていた方がいいのか、知らない方がいいのか、、、どうでもいいのかな??
 高等検察庁に報告するということは、、、検察官控訴の確率が高くなるということかな??

3 山口地裁判決を見ると、実刑か執行猶予かという判断については、大きなブレはないよう。

2 件数が少ないため、なんとも言えないものの、「感情的」な「感覚」、「厳罰感覚」がストレートに量刑に反映されるケースもあるか??(青森地裁判決など)−従前の、職業裁判官であれば、「求刑どおりの懲役15年」ではなかったかも??

1 裁判員裁判の量刑は、重罰傾向にあるよう。


献身介護の夫に猶予判決=妻殺害未遂、審理半日は最短−裁判員裁判・山口地裁 9月9日15時47分配信 時事通信

 寝たきりの妻(60)を殺害しようとしたとして、殺人未遂罪に問われた無職岩崎政司被告(63)の裁判員裁判で、山口地裁(向野剛裁判長)は9日午後、 懲役3年、保護観察付き執行猶予4年 の判決を言い渡した。検察側は 懲役4年を求刑 し、 弁護側は懲役3年、執行猶予4年が相当 と訴えていた。

 被告は起訴内容を認め、「長年の介護に疲れ、楽になろうと思った」と供述しており、量刑が注目されていた。

 事件の実質審理期間は半日で、裁判員裁判で最短。執行猶予と保護観察を付した判決は、9日午前の神戸地裁に続き2件目。

 地裁は8日午前、男性4人、女性2人の裁判員を選んだ。8日午後の審理で結審し、9日午前、裁判員と裁判官による評議が開かれた。

 8日午後の初公判では、13年間の介護の内容を説明した岩崎被告に対し、女性裁判員が「献身的な介護はすごく分かった」と質問を切り出し、「他人の手も借りて社会復帰してほしい」と諭した。

  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090909-00000081-jij-soci


父親殺害未遂で執行猶予=保護観察「実刑は家族に打撃」−4件目の裁判員裁判・神戸 9月9日9時55分配信 時事通信

 全国4件目の裁判員裁判で、神戸地裁(東尾龍一裁判長)は9日、父親(74)を灰皿で殴って殺そうとしたとして 殺人未遂罪 に問われた無職砂野政雄被告(40)に 懲役3年、執行猶予4年、期間中保護観察 とする判決を言い渡した。執行猶予付きの判決は裁判員裁判で初めて。

 検察側は 懲役5年を求刑 していた。

 判決は「刑務所に収容された場合、被害者や子らの打撃は大きく、避けるのが望ましい」とした。

 失業や借金を理由に無理心中を思いついた点を「身勝手で短絡的、同情の余地はない」と非難する一方、強い殺意があったとの検察側主張を退け、父親は10日間の軽傷で、被告は反省していると指摘した。

 その上で「被害者が処罰を求めず、子供も一日も早く被告が家に戻ることを願っている気持ちは最大限尊重されるべきだ」とした。

 借金返済や就職のめどが立っておらず、被告と父親の努力だけで更生できるかは疑問とし、保護観察による指導監督が必要と結論付けた。

 東尾裁判長は判決言い渡し後、「裁判員と裁判官でどのような言葉を掛けるか話し合った」と述べた上で、「自分の弱さに自覚を持ち続け、生まれ変わった気持ちで社会に出てほしい。いろいろな困難があると思うが、家族を大事にしてみんなで幸せに生きてほしい」と被告に説諭した。弁護側は懲役3年、執行猶予4年を主張していた。

  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090909-00000041-jij-soci


 青森地裁で行われた県内初の裁判員裁判で、県民から選ばれた裁判員6人と小川賢司裁判長らは話し合いの結果、 強盗強姦(ごうかん)罪 などに問われた22歳の被告に対し、検察側の 求刑 通り 懲役15年 の判決を言い渡した。全国3例目の裁判員裁判で性犯罪は初のケース。全国的に注目を浴びた裁判の量刑について、県民の声は「市民感覚からすれば妥当」「感情で裁くのは怖い気もする」と賛否両論。性犯罪を裁判員裁判対象としていることについても、意見が分かれた。

http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2009/20090905133356.asp


 裁判員裁判:強い殺意認定 被告、被害者とも控訴せず

 埼玉県狭山市で起きた 殺人未遂事件 を審理する全国2例目の裁判員裁判で、さいたま地裁(田村真裁判長)は12日、殺人未遂罪に問われた同県吉見町の解体工、三宅茂之被告(35)に 懲役4年6月 (求刑・同6年) の実刑判決を言い渡したが、被告、被害者ともに控訴しない方針で、判決は確定する見込み。

 判決は、三宅被告が5月4日午後9時ごろ狭山市で知人男性(35)の胸や頭を包丁で刺すなどし、約1カ月のけがをさせた行為を「強い殺意に基づく執拗(しつよう)で極めて危険な犯行」と認定。被害者に金を借りていた三宅被告が、借金残高が本来よりはるかに多い「1000万円」と聞いて激怒した動機については「一定の理解はできるが、短絡的にすぎ酌量すべき点はない」と言及した。

http://mainichi.jp/select/jiken/saibanin/news/20090813k0000m040135000c.html?inb=ra

 


(転載元) http://www2.ocn.ne.jp/~zunou/saibaninryokei.htm