レポート:ドメインネームの法的問題


みなさまにご教示いただいたドメインネームの法的問題についてのレポートです。

質問事項に対応して、5つのパートにわけてあります。今回は、時間の関係もあり、わが国のJPドメインについての調査だけでしたが、WIPOなどの動きも興味深そうなので、ちゃんと世界での問題点をまとめられるといいなと思っています。

では、

ドメインネームの法的問題



1997.3.27
福島県弁護士会所属
弁護士 高橋 郁夫




イーサネットでつながれたコンピューター間の通信においては、イーサネットアドレスが、分かっていれば、そこにパケットをおくることができますが、現実には、このアドレスを覚えておいたり、管理することは困難であることから、これを、IPアドレスというインターネットでの番地にあらわすことが行われてきました。たとえば、133.72.51.16などというのがこれです。このIPアドレスをつかいながら、通信することによって、コンピューター間の連絡がとれているのです。そして、このアドレスをさらに分かりやすい、覚えやすいものにしようというのが、ドメインネームなのです。

ドメインネームとは、IPアドレスに対応した略号の組み合わせといっていいと思われます。そして、このドメインネームは、その対応するアドレスに変換されることによって、世界的な通信に使えるというわけです。


1-1 JPドメインの割り当て

では、日本での通信の際のドメインネーム ですが、このドメインネームは、JPというISO3166 によって決められた日本を表す2文字コードであり、JPNICという団体(注1 )が管理しています。

いま、日本での通信といいましたが、厳密にいえば、全ての場合においてサーバーの所在地をさすのでもなく、また、ネットワーク利用者の本店が日本にあることを要するものではありません。たとえば、ネットワークサービスの場合には、行動の根拠が、日本国内にあれば良いし、また、なくてはならないのです(注2 )。

このJPNICは、「計算機ネットワークの円滑な発展に資するため、The Internetのネットワークインフォメーションセンター(InterNIC)や、その他の同種機関との調整のもと、計算機ネットワークを運営あるいは保有する組織に対し、国際的に一意性の保証されるJPドメイン名を構成するための<登録ドメイン名>の割り当てを行ない、それを管理」するという団体です。

このJPNICは、上記の目的をはかるための公益グループであり、そのもとにデータベースの整理を行っているのです。このグループは、現在、公益法人として認可を受けるべく準備している途上です。

(注1 )日本ネットワークインフォメーションセンター(Japan NetworkInformation Center 以下、JPNICという)
(注2 )NE.JPドメイン名に関するQ&A(ftp://ftp.nic.ad.jp/jpnic/domain-faq-ne.jp.txt/)
「 Q15. そのサービスの対象は日本向けでなければいけないでしょうか。
A15. 事務局などの運営の実質的な連絡先が日本に置かれていることが必要です。」


1-2 JPドメインの構造
(参考文献・JPドメイン名の割り当てについてftp://ftp.nic.ad.jp/jpnic/domain/domain-name-all.txt)

JPドメインネームは、構造としては、以下のようになっています。
JPドメイン名は、英字("A"から"Z"および"a"から"z")、数字("0"から"9")、あるいはハイフン("-")からなる文字列である<単純名>をピリオド(".")で連結したものであり、特定の条件をすべて満たすものです。ピリオドで区切られた各文字列の最右端を第1レベルあるいはトップレベルと呼び、左へ順に第2レベル、第3レベルと呼びます。定義から導出されるドメイン名のうち、最も右側(第1レベル)の<単純名>を JPとし、その左側(第2レベル) の<単純名>を属性とします。属性の左側(第3レベル)の<単純名>を第3レベル名とし、第3 レベル名、属性、および JP からなるドメイン名を、<登録ドメイン名>と呼びます。

また、ドメインは、その性質から、属性ドメインと地域(geographical)ドメインとに分けられます。地域ドメインは、その性質上、1. ネームスペースを広げる。 2. ドメイン名選択の幅の拡大。 3. 個人・地域密着組織(高校以下の学校、役所など)の収容の目的のために、1993年から、実験が行われてきたのが、1996年4月1日から、正式な制度になりました。この地域ドメインを取得しうるのは、「1. その地域でドメイン名を使用する個人、あるいはその地域に在住する個人。 2. 高等学校以下の学校、その地域内に所在する学校法人。 3. その地域を中心に活動する法人、法人に準ずる組織。 4. 属性型ドメイン名の属性AC, GO, ORに該当する組織で、その地域内に所属するもの。 5.地方公共団体」であり、具体的には、地方公共団体などが、第二レベルのドメインとして、県名などがそのまま、表示されます。

属性(generic)ドメインは、これにたいして、一般に用いられているドメイン名で、その組織の属性(組織の持つ法的・外形的な位置付け)を基に以下のように定義されています。 (なお、割当に際して、登記簿の写しの提出を求める場合があります)
具体的には、
AC = [教育および学術機関]
CO = [企業(または営利法人)] ただし、その法人が外国法人である場合には、外国
会社の登記を日本において行っている会社に限ります。
GO = [日本国政府機関] 
OR = [団体]
NE = [ネットワークサービス]
AD = [JPNIC会員]
の6つが、定義されています。


1-3 質問事項について

したがって、わが国で行われるJPドメインについては、公益を目的とするグループであるJPNICが、割当業務を担当しています。


2 申請について
(参考文献「JPドメイン名新規申請について」(ftp://ftp.nic.ad.jp/jpnic/domain/domain-name-new.txt)


2-1 申請手続き

この申請における手続きは、JPNICの定める申請書の様式にしたがって記載した書類をJPNICに送付することによってなされます。申請書の事項については、省略します。


2-2 申請書の提出および審査

申請書が提出されると、JPNIC は申請書の内容を検査し、10日以内に、申請されたドメイン名の割り当ての可否を通知します。また申請されたドメイン名に審議が必要となった場合、10日以内に審議中の通知をします。


2-3 審査の対象

申請書の受理と割り当て通知
 JPNIC
は、申請のドメイン名が既存のドメイン名と一致せず、ドメイン名の属性がJPNICの定める定義に適している場合、申請書の受理から 10日以内に、ドメイン名の割り当てを行い、技術連絡担当者(または申請仲介者)等に、通知します。

JPNIC は、「JPドメイン名の割り当てについて」の 2.JPドメイン名の定義、3.属性の定義を逸脱した申請またはJPNICがその申請に対し審議が必要と思われるものに対しては審議を行い、割り当てを行うかどうかを決定します。審議においては、申請した技術連絡担当者にドメイン名の選定理由を述べた文書の提出を求めることがあります。

この点について、後で述べるように、会社申請の場合には、法人登記により、会社であることの証明を要します。詳しくはReport 3参照


2-4 DNSへの登録

ドメイン名が割り当てられた日から1年以内にJPNICのネームサーバーへ登録が行われない場合そのドメイン名の割り当ては無効となります。ただし、ネームサーバに登録するには、いずれかのJPNIC会員の承認が必要とされています。



2-5 商用ドメインネームの状況等について

会社のホームページなどには、属性ドメインとして、co.jpが割り当てられ、その割り当ては、JPドメインの定義および属性の定義に該当する限り、自由に先着順で、ドメインネームが割り当てられています。


3-1 ドメインネームと商号等との衝突を防ぐために

前述のように、既存の商号・商標等との衝突を防ぐための手段というのは、考えられておらず、「2.JPドメイン名の定義、3.属性の定義を逸脱した申請」であるかどうか、がドメイン名を承認するかどうかの判断基準であったようであり、そのような事情がなければ、先着順でドメインネームが認められています。

もっとも、衝突を防ぐ手段が考えられていないかといえば、以下のようなかたちで、かなりの程度、乱用をふせぐような仕組みになっているということはできるでしょう。
すなわち、ニュース週刊誌の報告によれば、JPNICでは、co.ドメインについては、法人登記を有している企業でなければ登録しえないという規則にしています。丸山直昌事務局長は、「こうした問題は予測していたから、日本では、ドメイン名の譲渡は禁止だし、COがつくCOドメインについては法人登記をした企業一社ひとつしか取得できない決まりにしている。だが、すべてをチェックできるわけではない」(AERA「あなたの社名は使えない?インターネット上の商標登録」第442号 26頁)といっています。
このインタビュー自体若干誤解をまねきやすく、とくに法人登記を必要としているという点から、商号との一致が必要とされるかのようにも読み取れます。しかしながら、筆者が、丸山事務局長からメールで教示していただいた結果によると、そのような実際の商号との一致は要求しておらず、会社であることを要求しているにすぎないということでした。そして、JPNICとしては、そのようなドメインネームのいわば真正はもとめずに、むしろ、譲渡禁止と数の制限でドメインネームの乱用的取得にはどめをかけようとしているとのことでした。


3-2 譲渡禁止について

日本ネットワークインフォメーションセンタードメイン名割当検討グループが発表している「JP ドメイン名の割り当てについて」 (ftp://ftp.nic.ad.jp/jpnic/domain/domain-name-all.txt)
によれば、
「4 申請について」のなかの- ドメイン名の譲渡 -の項目の中で、「 割り当てられたドメイン名は譲渡出来ません。ただし、ネットワークサービスドメイン名の場合、ネットワークサービスの運営主体が変更になった場合はその登録変更は認められます。」とされており、優先して著名な商号等のドメインを登録しておいて、それを対象企業に譲渡するという方法はできないように、制度的にはなっています。


3-3 一組織一ドメインについて
JP ドメイン名の割り当てについて
JPNICの割り当てのルールについては、いわば「一組織一ドメイン」の原則とでもいうべきものが採用されている。前述の「JP ドメイン名の割り当てについて」(ftp://ftp.nic.ad.jp/jpnic/domain/domain-name-all.txt)の4の「申請について」によると、
- 複数ドメイン名の保持 -  
「単一の申請組織が複数の登録ドメイン名を保持することは原則としてできません。但し、以下にあげる2例を除きます。
 ・登録ドメイン名変更のための移行期の場合 ・ネットワークサービス提供者が、複数のネットワークサービスを行なっていて、それぞれに別々のドメイン名を利用する場合
・JPNIC会員が、自分の運用するネットワークの管理のために AD.JPドメイン名を利用する場合
と定められています。


3-4 衝突回避の手段(回答)

譲渡禁止と一組織一ドメインの原則により紛争を回避しています。


4 ドメインネームをめぐる紛争について

現在、知られている限りでは、裁判所へ提訴がなされたという事例は報告されていないようです。

もっとも、紛争ないしは、トラブルというものは、ニュース誌によってよく報告されている。たとえば、我が国で「セルフリッジ」に該当するデパートの一つである「松坂屋」についていえば、そのドメインネームとでもいうべきhttp://www.matsuzakayaa.co.jp)は、「ベラックシステム販売」という小さな会社が押さえており、デパートの有名な松坂屋は、そのドメインネームを使えないということが報告されています。
また、有名な食品メーカーの「味の素」は、日本に於けるjpドメインは有しているものの、comドメインについては、シリコンバレーの会社が押さえていることがレポートされています。(もっともこの紛争は解決したとのことです)


5 ドメインネームをめぐる紛争と法的処理

ドメインネームをめぐる4で述べた紛争等と法的な関係を考慮するとき、商標法、不正競争防止法との関係について、検討しなければならないでしょう。その際に、以下の点が問題になるといわれています。(以下は、Trademarks and Domain Names, WIPO Document No. TDN/MC/I/1 dated December 17, 1996, to be considered by the WIPO Meeting of Consultants on Trademarks and Internet Domain Namesによる部分が多い)(また、参考文献として「インターネットと商標」知財管理 vol.46 No.11 p.1777。)
その問題点の一つは、ドメインネームの割り当てについての問題であり、いま一つは、その著名な表示を有しているもののその有する効果です。

この割り当ての問題については、とくに商標との関係について検討されています。商標においては、その商品等ごとに商標か成立しうるのにたいして、ドメインネームについてては、一意性が保証さているという相違点がある点が影響を与えるといわれています。すなわち、その相違点があるということによって、ドメインネームとしての商標登録をした者は、従来、商標として、その名称を用いていたものがその名をドメインネームとして用いることを妨害してしまうということとができ、また、一つの商品で商標登録を得ているものがが、他の商標登録者をも、ドメインネームの使用から追い出してしまうことができるという問題があるといわれているのです。

また、商標保護の実行性の確保の点からも、問題があるとさています。 商標権の侵害は、他の商標保有者によるドメインネームとしての使用および剽窃者による商標の登録という二つの問題があるとされています。この場合に、商標保有者は、すべてのスペースを警邏していなくてはならないということになってしまいます。また、商標が希釈され、また、競争相手からその競争上の立場を弱められるおそれもあるといえるでしょう。さらに商標権の放棄を強いられることになるという可能性も否定できないのでしょう。

5-1 商標法との関係について

(a)割り当ての問題について

そもそも、商標権者以外のものが、商標の名称をドメインネームとして登録しうるか、という問題があり、この点については、わが国では、先着順であり、商号とドメインネームの同一性は、要求されていないため、かかる割り当ての問題が発生することは前述しました。

もっとも、WIPOの問題提起によれば、商標権者が、ドメインネームとしての商標登録をしてしまえば、他の者は、いかに実際の商標をもっていたとしてもドメインネームとして使えないのではないか、という点が指摘されています。

この点について、わが国では、真実ドメインネームについての商標をもっているということは要求されていないので、若干問題点が異なるものと考えられます。しかしながら、「ドメインネーム」としての利用じたいを内容とするサービス(役務)の提供のための商標を登録できるかという問題があります。この点は商標登録の問題点を含むので、さらなる検討を要する問題であるといってよいでしょう。

(b)商標保護の実行性の確保の点について

上の、商標法の適用についていえば、その多くは具体的な表示の仕方にかかってくるということができます。ある著名商標を有している会社が、同一の商標をもつ会社にドメインネームをとられてしまった、という場合に、商標法は、どのようなことをなしうるかという問題です。これについては、一つの画面表示において、どのように、そのドメインネームが用いられているのか、にかかってくるでしょう。。そのドメインネームが、ブラウザの現在のURLの欄にでているだけではもちろんのこと、ホームページ自体の表示として用いられている限りは、商標法の問題はないものと考えます。では、そのドメインネーム自体が、その画面表示で提供されている商品・役務の表示としてかんがえられるものであればどうなるでしょう (自他商品の識別的機能を果たす態様で利用されている場合)。その商品・役務の表示として「使用」されているのであれば、登録されている商標権の効力と衝突します。「ホームページ上に表示された商標は、提供する内容が商品・役務についての広告宣伝であれば、カタログ、パンフレットに代えてインターネットで広告宣伝しているのと同じであり、業として情報を提供しているのであれば、インターネットという媒体を通して情報の提供をしているにすぎないといえる」(前出「インターネットと商標」1783p)のであり、そのようにかんがえれば足りるといえるでしょう。

5-2 不正競争防止法との関係について

商標法によるときは、上に見たようにその登録されている商標権の範囲および類似の範囲に限定されます。したがって、著名な商標等を保有しているものであっても、上で見たように該当するドメインネームについて、そのドメインネームとしての利用はおろか、ホームページ自体の表示についても、商標法で禁止することはできないことになります。そこで、適用の可能性が考えられるのが、不正競争防止法ということになります。

不正競争防止法で検討されるべきは、かかるドメインネームの使用が、「商品等主体混同行為」に該当するか、また、「著名表示不正使用行為」に該当するかということです。

a 「商品等主体混同行為」の問題

我が国においては、「周知性」「類似性」「混同のおそれ」が、ある場合には、不正競争行為として、差止請求、損害賠償請求などの対象になり、また、刑事罰の対象にもなります。ここで、商標の場合と異なるのは、「混同のおそれ」という考え方でしょう。商標権の場合は、登録されている範囲の限定を常に念頭に置かなくてはならなかったが、これに対して、不正競争防止法では「混同のおそれ」は、「出所」において関連することころから出ているのではないか、と思わせることであっても、「混同のおそれ」ありと判断されるのであり(例えば、田村善之「不正競争法概説」72ページ)、かかるドメインネームの利用が、正当な商品等表示保有者の営業であると、主体を「混同」させるおそれ、すなわち、その正当な保有者の営業となんか関連しているところがやっていると思わせる効果が有る場合であれば、不正競争防止法が適用されるといえるわけです。

b 「著名表示不正使用行為」の問題

上のような混同のおそれがない場合でも、一定のドメインネームの使用はそれ自体、この類型に該当するものであると考えられます。すなわち、この類型は、新法改正の際にもっとも注目を浴びたものの一つといえますが、この規定は、「信用の形勢のための企業のインセンティブが損なわれないように表示の著名性の確率に努めた著名表彰の主体をかかる稀釈化減少から保護すること」を目的から保護するために設けられています。そして、この規定によって防止される行為は、いわゆる「ただ乗り(フリーライド)」する行為といわれているのであり、しかも、この行為には、主体について何らかの関連性が有ると思わせる行為 (広義の混同)と表示の著名性を利用して人の目を引きつける行為(表示の著名性のみを利用)の二つが有ると言われているのです(田村、前掲 180p)。

ここでの保護のための要件は、「著名性」「類似性」「商品等表示としての使用」です。ここで、注意しておかなくてはならないのは、「商品等表示としての使用」の要件でしょう。この「使用」によって、表示の稀釈かの現象が発生するのであり、その意味で、この要件が必要であるとされています。「商品の出所または営業の主体を示す表示」として使用することが必要なわけです。ホームページにおいてドメインネームは、自分のコンピューターのネットワーク内での位置をしめしていることは間違いがないでしょう。だとすれば、ホームページにおいては、ブラウザのなかに出てくる表示においても、(というか、ブラウザの構造上、表示されるのが一般になっている)「著名表示不正使用行為」の問題との関係ではかかる「使用あり」ということができるのではなかろうかとおもわれます。少なくても、著名表示の効果が、そこで稀釈かされていることになるのであろう。そして、これは、まさに、なにかおもしろいページはないかとwww. .co.jpのあとに適当な会社名をいれてさがしてみるというウエブサーファーの従来の行為を前提とした場合に、まさに前述の「表示の著名性のみを利用する」といわれるべきものなのであるとかんがえられます。(ウエブページの表示として行われる場合については、この場合に該当することは問題がないと思われます)

でも、問題はその先に有るといえるでしょう。上記田村先生の本によれば、表示の稀釈にとどまらず、表示の良質のイメージが侵害されてしまう場合があるということです。そして、この場合には、一般の表示選定の自由が害される恐れは少ないといいます。そうだとすると、ブラウザでの表示にとどまる場合には、ドメイン選択の自由との関係で、表示の汚染をしなければ、ゆるされるが、表示の汚染は許されないという解釈が可能なのではないか、という問題があります。バランスとしても、このあたりが妥当なのではないか、といえるでしょう。さらなる検討が必要でしょう。

5-3 「不正競争防止法」の域外適用(ひとりごと?)

なお、新法は、不正競争防止法の立法管轄について、「本法施行の範囲内において」という文言を削除することによって、外国においてのみ周知の表示についても、我が国の輸出行為についての規制を及ぼすことがあると解釈される余地があるとのことです。

そうだとすると、逆に、我が国での周知表示・著名表示をネットワークによって外国発信によって侵害する行為にたいして、我が不正競争防止法は、どのように対応するのであろうか。

サーバーだけが、外国にあっても、その侵害者が日本国内にいる場合には、適用されるのであろう。では、日本の競争秩序を侵害する行為が、外国でなされていてもいいのか。たとえば前述の表示の汚染が、外国のものによってなされてもいいのか。外国の競争秩序を守ろうとまでした法律が、「本法の適用される範囲は、日本国内であることが前提であり、輸出については輸出行為自体は日本国内で行なわれるのでその限りで適用対象となる」(逐条解説・不正競争防止法30ページ)というのは、問題意識としてどうなのか、むしろ、現実には、この行為にこだわる姿勢がどうなるか、という疑問を感じさせるところです。とくにこの点は、インターネットを通じての侵害という現代社会において特別にその危険性が高まったともいえるかもしれません。この点については、英国で、非常におもしろい判例が報告されています。その検討については、次までのお楽しみとしたいと思います。

(感謝の言葉)

野田容朗会員には、資料の提供をいただいた上に、非常に貴重なご意見をいただきました。本当にありがとうございます。
さらにドメインネームの問題についていろいろと教示していただいた方々にもあらためてお礼申し上げます。

このレポートは、みなさまからの多大な協力によるものですが、筆者の時間的・客観的状況によりなお完全なものではない
ことをお断りせざるをえません。
いずれ諸外国、WIPOの状況も踏まえて、きちんとまとめてみたいと思っています。
いずれにせよ、このレポートがドメインネームの紛争についてのみなさまの思考に便宜をもたらすことをお祈りします。

Ikuo "Tak" Takahashi@The Chambers of Mr.Ikuo Takahashi
URL http://133.52.71.16/Takahashi/Index.HTM


−以上−