代表声明文1・法務省に対する質問書



   

インターネット法規制に対する声明文

  1996年10月16日                      インターネット弁護士協議会                            代表  牧 野 二 郎                                 (代表声明)  10月6日、各新聞紙上において、法務省が組織的犯罪に対する規制の強化の法 案が必要だとして、法務大臣が同8日にも法制審議会に諮問すると報道された。さ らに法務省は10月8日に諮問した後、諮問の結果も出ていない現段階で、早々と 来年3月には国会提出をおこなうと公言している。 右諮問の内容は規制の一環として、電話の盗聴、インターネットの盗聴などを認 容する内容を持ち、憲法上の保障のある通信の秘密や、表現の自由、検閲の禁止と の関係で、きわめて重要な人権問題となる事は明らかである。この重要性は、各新 聞社が社説などによって、こぞって指摘している通りである。  インターネット問題に関して、国民の関心は次第に高まり、その重要な役割の評 価と共に、問題点の指摘もなされつつある。我が国においては、いまだインターネ ットの経験は浅く、インターネットの功罪について、十分な分析、認識がなされて いない。  刑事犯に関する捜査方法に関しても、手探り状態にあり、電気通信事業法に違反 する捜査が行われているという指摘もなされ、捜査方法の適正運用の方向を確立す る必要性は高い。  しかも、インターネットの最も大きな特徴は、国境をも越えて、情報の交流が自 由となるという点であり、ここから、各国の独自の法体系では対応しきれないと言 う現実がある。国内での盗聴は、国内問題にとどまらず、国際的な通信の盗聴にな るという性格を、必然的に持たざるをえない。 国内の問題に関しては、国内での適用の方法など検討すべき点は多いが同時に、 国際的な観点で、インターネット上での情報の流通を阻害しない、国際的な人権侵 害を引き起こさないといった、国際的な、適正なルール作りが求められている。  法務省が、インターネットに対し、法的対策を検討することは国民の権利保護の 観点からも必要ではあるが、インターネットに対する理解が未成熟のまま、慎重な 検討なくして規制のみを急ぐことは、過度の法規制や間違えた規制となる危険があ る。 今回の法規制問題に関しては、より重大な問題がある。  法務大臣が諮問をして、審議され、法案の作成準備と進むはずのものが、諮問の 前に、法案が出来ているという事実である。正式名称は「法務省刑事局検討案」と いうもので、「通信傍受」 として詳細な内容がすでに出来上がっているのである。 この法案は、この夏ころには関係者に配布され、一部訂正の上、この内容で成案化 され、国会に提出される事になっているという。  国民には見えないところで、このような精緻な法案策定作業を進め、法務大臣の 諮問の前に、法案が出来ているというのは、一体どういうことなのか。国民の民意 を問うことなく、秘密のうちに法案を作成して、突然国会に提出するというのは、 国会軽視、国民軽視なのではないか。  インターネット弁護士協議会は、インターネットの情報交流の機能を高く評価し、 市民の情報の流通にとって極めて重要な情報伝達手段であるとの認識を持つに至っ ている。この情報伝達の機能を損なうことなく、適正なルールを確立することは必 要である。しかし、そのルールは市民の総意に基づくものでなければならず、ルー ル化の議論は、広く公開された場で、行われなければならないと考えている。  インターネット弁護士協議会は、法務省に対し、次のことを質問する。  1 「法務省刑事局検討案」は法務省の作ったものか。    いつ、いかなる目的で作ったのか。    法案作成について、学識経験者、法律専門家、弁護士会、通信事業者、消費    者に意見聴取した事はあるのか。  2 今後、法制化の議論を、全て公開し、学識経験者、法律専門家、弁護士会、    通信事業者、消費者の意見を聞き、法制化を進める予定はあるか。  3 法案作成に対し、国民の意見を述べる機会は、あるのか、ないのか。あると    すればどのような方法か。  法務省は、これまでインターネットを利用した情報の開示を行ってこなかった。  今月に入って、初めて、ホームページを利用した情報の開示を始めた。  他の、内閣総理大臣を始め、各省庁が、インターネット、とりわけホームページ による情報の開示を積極的に利用する中、法務省のインターネットに対する消極的 な姿勢は際立っていた。  インターネットへの評価も、その果たす役割の重要性の認識もほとんど無いまま で、国民に隠れて、憲法に抵触するような法規制を進めるのは、国民の総意に反す るものであることを認識してもらいたい。  以上。


いわゆる盗聴法案の概要

法務省刑事局検討案(いわゆる盗聴法案)抜粋

組織的犯罪刑事法整備参考試案全文及び事務当局説明要旨

法務省回答1

代表声明文2・法務省に対する質問書

法務省会見・内容報告

いわゆる盗聴法案に関する議論経過

盗聴法案についての清見勝利会員の見解