問答集:人工生殖 (1997年11月)

編集:金森 喜正

加藤 幸英
 はじめまして。加藤幸英@一般会員です。

 この度、当協会に登録いたしました。宜しくお願いいたします。

 さて、早速、みなさまに質問がございます。

 現在、人工生殖について研究をしているのですが、わが国においては人工生殖により出生した子供の法的地位(嫡出?非嫡出?)はどのような取り扱いがなされるのでしょうか?知ってみえる方がいましたらお教え下さい。また、わが国にその様な制度がないとしたら、どのような扱いがなされるのでしょうか?また、諸外国では、如何に扱われているのでしょうか?お教え下さい。

 具体的には、たとえば夫婦間で長男は、母親と第3者の精子で人工生殖して生まれた場合どうなりますか?

重田 樹男
 この場合に夫と子供の間には生物学的な親子関係は りませんので、非嫡出子として出生届を行い、夫が望むなら養子縁組をするというのが本来的な扱いで ると思われます。しかし妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子として推定されます(民法772条1項)。この推定に対して夫は否認することもできますが(同法774条)、嫡出性を承認したときには否認 を失います(同法776条)。したがって法律的には嫡出子として扱われる可能性も ることになります。

加藤 幸英
 仮に、次男は父親の精子で人工生殖した場合には、長男と相続に関して差はあるのでしょうか?  (ただし、長男については、父親も同意していると仮定します。また、長男出生に対し、父親の精子は一切まぜていません)。

重田 樹男
 上述のように本来的な非嫡出子としての手続をすると、長男の法定相続分は次男の半分になります(民法900条4号)。

この問題については、代理母(Surrogate)や精子バンク(sperm bank)が実際に行われている米国で議論が盛んで ると思います。おそらくはウェブ上にもかなりの情報が るのではないかと推測します。

加藤 幸英
 大変基本的な質問ですが、父親の精子で人工生殖した場合(顕微授精)には、何の問題もなく嫡出子とされるのですか。法的な根拠や特別法は存在しないのですか?

町村 泰貴
 参考文献です。 石井美智子『人工生殖の法律学』有斐閣

広告では、94年の8月下旬発売予定で、予定1800円となっています。

金井 高志
 人工授精については、確か昭和30年代から慶応大学などで始められて、慶応大学の 法学部では研究がなされていました。自分の大学院の指導教授などもその研究に参していました。

しかし、現在でも人工授精子について特別な法規は存在しません。夫の精液による AIHの場合には、受精子は完全に夫の子であって、嫡出推定を受ける嫡出子になりま す。体外受精子についても同様と考えられます。参考:泉久雄「親族法」1997年 203ページ

法律の文献はいくつかありますが、簡単な内容の確認であれば、図書館などで「親族 法」の法律の本を見れば数ページですが記載があります。

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