問答集:弁護士さんはいつ来るの? (1997年12月)

編集:金森 喜正

白瀧 由裕
白瀧@一般会員です

一連の黙秘権に対するお話で、素人of素人の白瀧は素人らしい疑問を持ちました。話の腰を折ってしまいそうですが・・・。

疑問は「警察に逮捕されたらいつの段階で弁護士を呼べるのか」です。

どうもお話を伺っていると、弁護士さんと会えるのは調書を取られはじめたところのようですね。逮捕状を見せられた直後に「弁護士呼ばないと一歩も動かんぞ!」というのは認められないんですか?

どう考えても護送される車の中で、絶対質問されて、余計なことを喋ってしまいそうなんですが。その段階で黙秘をしてもいいものなのか、果てさて疑問です。

湯川 二朗
どうぞそうおっしゃって下さい。どの弁護士を呼んでいいか分からないときは、「当番弁護士を呼べ!」とおっしゃって下さい。そして、「当番弁護士と面会するまでは、何もしゃべらんぞ」とおっしゃって、黙秘して下さい。(もっとも、私が言うのも何ですが、当番弁護士にも当たり外れがありますので、その辺はご勘弁下さい。)それは逮捕状を示されたときでも、取調を受け始めたときでも、いつでも結構です。もしすぐに当番弁護士へ連絡を取ってくれなかったら、そのことを後で弁護士が面会に来たときや、検察官や裁判官の前に出たときにはっきりとおっしゃって下さい。

白瀧 由裕
現状では逮捕されてからどの辺で弁護士さんと会えるものなのでしょうか?こないだ見たテレビドラマでは、取り調べ受けてる兄ちゃんが「弁護士呼んでくれ」とか叫んだら、刑事に「生意気言うな!」とか小突かれてましたが・・・。

湯川 二朗
もし刑事から小突かれたら、そのことを当番弁護士に話して下さい。それも、そのときの状況を克明に。そうしたら、それを弁護士が記録して、場合によっては公証役場で確定日付を取り、また場合によっては警察署長や検察官宛に内容証明を送りつけますから。

寺中 誠
現行の刑事手続実務では、被疑者段階での弁護士の立ち会いはどうなるんでしょ ?警察で接見拒否にあったことってあります?

湯川 二朗
被疑者段階の弁護士の立会とは、取調の立会のことを言っておられるのでしょうか?もしそうであるなら、その点は、今の実務では認められていません。もちろん、個々の弁護士は要求していますし、弁護士会でも要求しているのですが、残念ながら応じないのが実状です。

寺中 誠
取調自体への立会は現在認められていませんが、ぼくの聞いたところでは、実際に弁護士がついていると、取調のしかたが変わるそうです。

つまり弁護士が接見を求めた場合でも、たしかに警察は取調その他の都合で接見拒否も可能ではあるのですが、そこをがんばると、たいていの場合どうにかなると聞きました。

湯川 二朗
憲法では弁護人依頼権が認められているのですから、「弁護士が立ち会わなければ自分は取調に応じない」と言えて当たり前、むしろ,弁護士に何時依頼したいかと言えば、取調の時にどう答えて良いのか教えて欲しいというのが、一番依頼したいことなのでしょうから。それを、日本では「弁護士を依頼する権利はあるが、接見は取調が終わってからにしろ」とか言うのです。

これは、「君には黙秘権がある」とか言いながら、黙秘していると「なぜ黙る!正直に白状しろ!自白するまで釈放しないぞ」と執拗に自白を迫るのと全く同じ構造です。

なお、私は未だ接見拒否にあったことはありません(何時会えるか聞いてから面会に行っているから・・・これは弁護人としては「闘わない刑事弁護」であって、自慢できることではない)が、実際にはよくあることです。それで、違法に接見を拒否したといって弁護士が国家賠償請求を提起するケースが多く、その結果少しずつ接見実務が改善してきているのです。

寺中 誠
ということだったのですね。

もちろんおっしゃるとおり、現実の刑事手続、特に被疑者段階の実務は奇妙な論理でなりたっていると思います。そこをどうにかしようというのがミランダの会なり、起訴前弁護に関して活動されている方々だ、と理解しています。

実際に問題のある手続を経験された方々に聞くと、やはり弁護士が出てきた段階でガラっと違うそうです。それだけ弁護士の力というのは重要なのだな、と思った次第です。

−以上−