インターネット弁護士協議会
 判例落ち穂拾い
 目次へ








落ち穂拾いの勧め

 現行のキャリア裁判官制度の下にあっても事実は当事者のものです。平均的な常識を備えた一般人である当事者が認識し、または認識し得る事実以外の「別の物語」が司法の名の下に語られることはあってはならないのです。即ち、妥当な事実認定は、裁判の生命です。しかしながら、平凡な事件でも事実認定の誤りは必ず発生し、誤った事実を「認定」された時、当事者の悲しみと落胆、そして怒りは頂点に達します。のみならず、裁判の権威は地に落ちるのです。

 学者は、事実認定を裁判所の専権とし、事実認定の当否は原則として批判の対象とはしません。事実誤認は、現行の三審制の枠組みにより是正されることはありますが、是正機能や結果のフィードバックが極めて不十分ではないかという疑問があります。

 医師の診断が適正であったかどうかは、遺体の解剖等により、ある程度、検証が可能とされます。また、遺体解剖の実施は病気が特異であるかどうかとは関係がありません。

 私達法律実務家も、司法という場において、遺体解剖に習って裁判所の事実認定の当否を検証していく必要があるのではないかと考えています。

 これは、事実認定の現実、経験則に基づく自由心証主義の実態の検証の試みであります。

 そのためには、従来公刊物に搭載されることのなかった、いわば判例の落ち穂を拾い集めることから始めなければなりません。

 今、インターネットという素晴らしい道具を私達一人一人が手にしています。

 一人の人間の発言が一瞬にして全世界を駆けめぐる時代なのです。

 このインターネットという道具を使えば、「控訴審で一審の事実認定を破棄し、異なる事実を認定した判決」を拾い集めて公表することは実現可能です。そこから、事実誤認の構造と現行キャリア裁判官制度が抱える問題点を考えてみようというのが、このページの開設意図です。

 このような検証作業は、かならずや裁判官の事実認定に緊張感をもたらし、裁判所における審理の充実に繋がると思います。更に、我々法律実務家のみならず、裁判と無縁な一般市民にも「事実認定の実像」の一端を開示・提供することが可能となり、現在検討されている参審制や陪審制についての市民の関心を呼び起こす契機にもなると思われます。

 皆様に対して理解と共感を願い、多くの法律実務家や研究者のご参加を頂き、この新たな試みを通じて、健全なる司法の発展と、市民とともにある司法の実現に尽したいものです。欲を云えば、全国の弁護士会のホームページにおいても、同様の試みがなされ、ネットワークが構築されることを期待します。そうした暁には、現在構想されている法科大学院における実務教材のデータベースとして機能することも期待されます。


 シドニーオリンピックにおける柔道で、篠原が負けました。
 判定が正しかったのか否か。
 人間が行う作業には、必ず事後の検証が必要なのです。
 明日の、誤りを防ぐために・・・・・・!!


平成12年11月23日
インターネット弁護士協議会
弁護士 平 井 治 彦