犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案要綱骨子



第一 定義

 この法律において「通信」とは、電話その他の電気通信であって、その全部又は一部が有線(有線以外の方式で電波その他の電磁波を送り、又は受けるための電気的設備の有線部分を除く。)により行われるものをいうものとすること。
 この法律において「傍受」とは、現に行われている他人間の通信について、その内容を知るため、当該通信の当事者のいずれの同意も得ないで、これを受けることをいうものとすること。
 この法律において「通信事業者等」とは、電気通信を行うための設備(以下「電気通信設備」という。)を用いて他人の通信を媒介し、その他電気通信設備を他人の通信の用に供する事業を営む者及びそれ以外の者であって自己の業務のために不特定又は多数の者の通信を媒介することのできる電気通信設備を設置している者をいうものとすること。

第二 令状による通信の傍受

 検察官又は司法警察員は、次の1から3までのいずれかに該当する場合において、それぞれ1から3までに規定する犯罪(2及び3にあっては、その一連の犯罪をいう。)の実行、準備又は証拠隠滅等の事後措置に関する謀議、指示その他の相互連絡その他当該犯罪の実行に関連する事項を内容とする通信(以下「犯罪関連通信」という。)が行われると疑うに足りる状況があり、かつ、他の方法によっては、犯人を特定し、又は犯行の状況若しくは内容を明らかにすることが著しく困難であるときは、裁判官の発する傍受令状により、電話番号その他発信元又は発信先を識別するための番号又は符号(以下「電話番号等」という。)によって特定された通信の手段(以下「通信手段」という。)であって、被疑者が通信事業者等との間の契約に基づいて使用しているもの(犯人による犯罪関連通信に用いられる疑いがないと認められるものを除く。)又は犯人による犯罪関連通信に用いられると疑うに足りるものについて、これを用いて行われた犯罪関連通信の傍受をすることができるものとすること。
 別表に掲げる罪が犯されたと疑うに足りる十分な理由がある場合において、当該犯罪が数人の共謀によるものであると疑うに足りる状況があるとき。
 別表に掲げる罪が犯され、かつ、引き続き次に掲げる罪が犯されると疑うに足りる十分な理由がある場合において、これらの犯罪が数人の共謀によるものであると疑うに足りる状況があるとき。
 当該犯罪と同様の態様で犯されるこれと同一又は同種の同表に掲げる罪
 当該犯罪の実行を含む一連の犯行の計画に基づいて犯される同表に掲げる罪
 禁錮以上の刑が定められている罪が別表に掲げる罪の実行に必要な準備のために犯され、かつ、引き続き当該別表に掲げる罪が犯されると疑うに足りる十分な理由がある場合において、当該犯罪か数人の共謀によるものであると疑うに足りる状況があるとき。
 別表に掲げる罪であって、譲渡し、譲受け、貸付け、借受け又は交付の行為を罰するものについては、前項の規定にかかわらず、数人の共謀によるものであると疑うに足りる状況があることを要しないものとすること。
 一及び二による傍受は、通信事業者等の看守する場所で行う場合を除き、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内においては、これをすることができないものとし、ただし、住居主若しくは看守者又はこれらの者に代わるべき者の承諾がある場合は、この限りでないものとすること。
 傍受令状の請求は、検察官(検事総長の指定する者に限る。八において同じ。)又は司法警察員(国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の警察官、厚生大臣が指定する麻薬取締官及び海上保安庁長官が指定する海上保安官に限る。八において同じ。)から地方裁判所の裁判官にこれをしなければならないものとし、ただし、急速を要し、地方裁判所の裁判官に請求することができないときは、簡易裁判所の裁判官にこれをすることができるものとすること。
 四の請求を受けた裁判官は、その請求を理由があると認めるとき(簡易裁判所の裁判官にあっては、その請求が理由があり、かつ、急速を要し、地方裁判所の裁判官に傍受令状を請求することができないと認めるとき)は、傍受ができる期間として十日以内(簡易裁判所の裁判官にあっては、五日以内)の期間を定めて、傍受令状を発するものとすること。
 裁判官は、傍受令状を発する場合において、傍受の実施(通信の傍受をすること及び通信手段について直ちに傍受をすることができる状態で通信の状況を監視することをいう。以下同じ。)に関し、適当と認める条件を付することができるものとすること。
 傍受令状には、この法律に定める事項(被疑者の氏名、被疑事実の要旨、罪名、罰条、傍受すべき通信、傍受の実施の対象とすべき通信手段、傍受の実施の方法及び場所、傍受ができる期間、傍受の実施に関する条件、有効期間及びその期間経過後は傍受の処分に着手することかできず傍受令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他最高裁判所規則で定める事項)を記載し、裁判官が、これに記名押印しなければならないものとし、ただし、被疑者の氏名については、これが明らかでないときは、その旨を記載すれば足りるものとすること。
 地方裁判所の裁判官は、必要があると認めるときは、検察官又は司法警察員の請求により、十日以内の期間を定めて、傍受ができる期間を延長することができるものとし、ただし、傍受ができる期間は、通じて三十日を超えることかできないものとすること。
 裁判官は、傍受令状の請求があった場合において、当該請求に係る被疑事実に前に発付された傍受令状と同一のものが含まれるときは、同一の通信手段については、更に傍受をすることを必要とする特別の事情があると認めるときに限り、これを発付することができるものとすること。

第三 傍受の実施

 傍受令状は、通信手段の傍受の実施をする部分を管理する者(会社その他の法人又は団体にあっては、その役職員。以下同じ。)又はこれらの者に代わるべき者に示さなければならないものとし、ただし、被疑事実の要旨については、この限りでないものとすること。
 傍受ができる期間が延長されたときも、一と同様とすること。
 通信の傍受については、電気通信設備に傍受のための機器を接続することその他の必要な処分をすることができるものとし、検察官又は司法警察員は、検察事務官又は司法警察職員にその処分をさせることができるものとすること。
 検察官又は司法警察員は、通信事業者等に対して、傍受の実施に関し、傍受のための機器の接続その他の必要な協力を求めることができるものとし、この場合においては、通信事業者等は、正当な理由がないのに、これを拒んではならないものとすること。
 傍受の実施をするときは、通信手段の傍受の実施をする部分を管理する者又はこれらの者に代わるべき者を立ち会わせなけれはならないものとし、これらの者を立ち会わせることかできないときは、地方公共団体の職員を立ち会わせなければならないものとすること。
 立会人を常時立ち会わせることかできないやむを得ない事情かあるときは、その事情がある間に限り、立会人を立ち会わせることを要しないものとし、たたし、傍受の実施の開始、中断及び終了並びに傍受をした通信を記録する媒体(以下「記録媒体」という。)の交換の際は、この限りでないものとすること。
 検察官又は司法警察員は、傍受の実施をしている間に行われた通信であって、傍受令状に記載された傍受すべき通信(以下単に「傍受すべき通信」という。)に該当するかどうか明らかでないものについては、傍受すべき通信に該当するかどうかを判断するため、これに必要な最小限度の範囲に限り、当該通信の傍受をすることができるものとすること。
 外国語による通信又は暗号その他その内容を即時に復元することができない方法を用いた通信であって、傍受の時にその内容を知ることが困難なため、傍受すべき通信に該当するかどうかを判断することができないものについては、その全部の傍受をすることができるものとし、この場合においては、速やかに、傍受すべき通信に該当するかどうかの判断を行わなければならないものとすること。
 検察官又は司法警察員は、傍受の実施をしている間に、傍受令状に被疑事実として記載されている犯罪以外の犯罪であって、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮に当たるものを実行したこと、実行していること又は実行することを内容とするものと明らかに認められる通信が行われたときは、当該通信の傍受をすることができるものとすること。
 医師、歯科医師、助産婦、看護婦、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、公証人又は宗教の職にある者(傍受令状に被疑者として記載されている者を除く。)との間の通信については、他人の依頼を受けて行うその業務に関するものと認められるときは、傍受をしてはならないものとすること。
十一
 検察官又は司法警察員は、傍受の実施をしている間に行われた通信について、これが傍受すべき通信若しくは九により傍受をすることができる通信に該当するものであるとき、又は七若しくは八による傍受すべき通信に該当するかどうかの判断に資すると認めるときは、傍受の実施の場所において、当該通信の相手方の電話番号等の探知をすることができるものとし、この場合においては、別に令状を必要としないものとすること。
十二
 検察官又は司法警察員は、通信事業者等に対して、十一の処分に関し、必要な協力を求めることができるものとし、この場合においては、通信事業者等は、正当な理由がないのに、これを拒んではならないものとすること。
十三
 検察官又は司法警察員は、傍受の実施の場所以外の場所において十一の探知のための措置を必要とする場合には、当該措置を執ることができる通信事業者等に対し、十一により行う探知である旨を告知して、当該措置を執ることを要請することができるものとし、この場合においては、通信事業者等は、正当な理由がないのに、これを拒んではならないものとすること。
十四
 傍受令状の記載するところに従い傍受の実施を中断し又は終了すべき時に現に通信が行われているときは、その通信手段の使用(以下「通話」という。)が終了するまで傍受の実施を継続することができるものとすること。
十五
 傍受の実施は、傍受の理由又は必要がなくなったときは、傍受令状に記載された傍受ができる期間内であっても、これを終了しなければならないものとすること。
十六
 傍受をした通信については、すべて、録音その他通信の性質に応じた適切な方法により記録媒体に記録しなければならないものとし、この場合においては、二十二の手続の用に供するため、同時に、同一の方法により他の記録媒体に記録することができるものとすること。
十七
 十六前段により記録をした記録媒体については、傍受の実施を中断し又は終了したときは、速やかに、立会人にその封印を求めなければならないものとし、傍受の実施をしている間に記録媒体の交換をしたときその他記録媒体に対する記録が終了したときも、同様とすること。
十八
 十七の記録媒体については、十六後段により記録をした記録媒体がある場合を除き、立会人にその封印を求める前に、二十二の手続の用に供するため、複製を作成することができるものとすること。
十九
 立会人が封印をした記録媒体は、遅滞なく、傍受令状を発付した裁判官が所属する裁判所の裁判官(簡易裁判所の裁判官が傍受令状を発付した場合には、当該簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の裁判官)に提出しなければならないものとすること。
二十
 検察官又は司法警察員は、傍受の実施の終了後、遅滞なく、この法律に定める事項(傍受の実施の開始、中断及び終了の年月日時、立会人の氏名及び職業、立会人を立ち会わせなかった場合はその時間及び理由、傍受の実施をしている間における通話の開始及び終了の年月日時、傍受をした通信の開始及び終了の年月日時並びに通信の当事者の氏名その他その特定に資する事項、九の通信に係る犯罪の罪名及び罰条、記録媒体の交換をした年月日時、封印の年月日時及び封印をした立会人の氏名等その他傍受の実施の状況に関し最高裁判所規則で定める事項)を記載した書面を、十九の裁判官に提出しなければならないものとし、傍受ができる期間の延長を請求する時も、同様とすること。
二十一
 検察官又は司法警察員は、傍受の実施を中断し又は終了したときは、速やかに、傍受をした通信の内容を刑事手続において使用するための記録(以下「刑事手続用記録」という。)を作成しなければならないものとし、傍受の実施をしている間に記録媒体の交換をしたときその他記録媒体に対する記録が終了したときも、同様とすること。
二十二
 刑事手続用記録は、十六後段により記録をした記録媒体又は十八により作成した複製から、次に掲げる通信以外の通信の記録を消去して作成するものとすること。
傍受すべき通信に該当する通信
 八により傍受をした通信であって、なおその内容を復元するための措置を要するもの
 九により傍受をした通信及び八により傍受をした通信であって九の通信に該当すると認められるに至ったもの
 1から3までに掲げる通信と同一の通話の機会に行われた通信
二十三
 二十二2に掲げる通信の記録については、当該通信が傍受すべき通信及び九の通信に該当しないことが判明したときは、刑事手続用記録から当該通信の記録及び当該通信に係る二十二4に掲げる通信の記録を消去しなければならないものとし、ただし、当該通信と同一の通話の機会に行われた二十二1から3までに掲げる通信があるときは、この限りでないものとすること。
二十四
 検察官又は司法警察員は、刑事手続用記録を作成した場合において、他に裁判官に提出した記録媒体(以下「傍受の原記録」という。)以外の傍受をした通信の記録をした記録媒体又はその複製その他の当該通信の内容を記録した物があるときは、その記録の全部を消去しなけれはならないものとし、二十三により刑事手続用記録から記録を消去した場合において、他に当該記録の複製その他の刑事手続用記録の内容を記録した物があるときも、同様とすること。
二十五
 検察官又は司法警察員は、傍受をした通信であって、刑事手続用記録に記録されたもの以外のものについては、その内容を他人に知らせ、又は使用してはならないものとすること。

第四 事後措置等

 検察官又は司法警察員は、刑事手続用記録に記録されている通信の当事者に対し、刑事手続用記録を作成した旨及びこの法律に定める事項(当該通信の開始及び終了の年月日時並びに相手方の氏名、傍受令状の発付の年月日、傍受の実施の開始及び終了の年月日、傍受の実施の対象とした通信手段、傍受令状に記載された罪名及び罰条並びに第三の九の通信に係る犯罪の罪名及び罰条)を書面で通知しなければならないものとすること。
 一の通知は、通信の当事者が特定できない場合又はその所在が明らかでない場合を除き、傍受の実施が終了した後三十日以内にこれを発しなければならないものとし、ただし、地方裁判所の裁判官は、捜査が妨げられるおそれがあると認めるときは、検察官又は司法警察員の請求により、この通知を発しなければならない期間を延長することができるものとすること。
 検察官又は司法警察員は、傍受の実施が終了した後三十日の期間が経過した後に、通信の当事者が特定された場合又はその所在が明らかになった場合には、当該通信の当事者に対し、速やかに、一の通知を発しなければならないものとすること。
 一の通知を受けた通信の当事者は、刑事手続用記録のうち当該通信に係る部分の聴取、閲覧又は複製作成をすることができる。
 傍受の原記録を保管する裁判官(以下「原記録保管裁判官」という。)は、刑事手続用記録に記録されている通信の当事者が、刑事手続用記録のうち当該通信に係る部分の聴取、閲覧又は複製作成をした場合において、刑事手続用記録の正確性の確認のために必要があると認めるときその他正当な理由があると認めるときは、当該通信の当事者の請求により、傍受の原記録のうち当該通信に相当する部分の聴取、閲覧又は複製作成を許可しなければならないものとすること。
 原記録保管裁判官は、傍受をされた通信の内容の確認のために必要があると認めるときその他正当な理由があると認めるときは、刑事手続用記録に記録されている通信以外の通信の当事者の請求により、傍受の原記録のうち当該通信に係る部分の聴取、閲覧又は複製作成を許可しなければならないものとすること。
 原記録保管裁判官は、傍受が行われた事件に関し、犯罪事実の存否の証明又は刑事手続用記録の正確性の確認のために必要があると認めるときその他正当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員の請求により、傍受の原記録のうち必要と認める部分の聴取、閲覧又は複製作成を許可することができるものとし、ただし、複製作成については、次に掲げる通信(刑事手続用記録に記録されているものを除く。)に係る部分に限るものとすること。
 傍受すべき通信に該当する通信
 犯罪事実の存否の証明に必要な証拠となる通信
 1又は2に掲げる通信と同一の通話の機会に行われた通信
 十三により記録の消去を命じた裁判がある場合においては、七による複製作成の許可の請求は、当該裁判により消去を命じられた記録に係る通信が新たに七1又は2に掲げる通信であって他にこれに代わるべき適当な証明方法がないものであることが判明するに至った場合に限り、傍受の原記録のうち当該通信及びこれと同一の通話の機会に行われた通信に係る部分について、することができるものとし、ただし、当該裁判が十三2に該当するとしてこれらの通信の記録の消去を命じたものであるときは、この請求をすることができないものとすること。
 原記録保管裁判官は、傍受が行われた事件に係る被告事件又は検察官により刑事手続用記録若しくはその複製その他の刑事手続用記録の内容を記録した物の取調べの請求があった被告事件に関し、被告人の防御又は刑事手続用記録の正確性の確認のために必要があると認めるときその他正当な理由があると認めるときは、被告人又はその弁護人の請求により、傍受の原記録のうち必要と認める部分の聴取、閲覧又は複製作成を許可することができるものとし、ただし、被告人が当事者でない通信に係る部分の複製作成については、当該通信の当事者のいずれかの同意がある場合に限るものとすること。
 傍受の原記録については、五から九までの規定による場合のほか、その聴取、閲覧又は複製作成をさせてはならないものとし、ただし、裁判所又は裁判官が、刑事訴訟法の定めるところにより、傍受が行われた事件に係る被告事件、検察官により刑事手続用記録若しくはその複製その他の刑事手続用記録の内容を記録した物の取調べの請求があった被告事件又は傍受に関する刑事の事件の審理又は裁判のために必要があると認めて、傍受の原記録のうち必要と認める部分を取り調べる場合にお いては、この限りでないものとすること。
十一
 裁判官がした通信の傍受に関する裁判に不服がある者は、その裁判官が所属する裁判所(簡易裁判所の裁判官がした裁判に対しては、当該簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所)に、その裁判の取消し又は変更を請求することができるものとすること。
十二
 検察官又は検察事務官がした通信の傍受に関する処分に不服がある者はその検察官又は検察事務官の所属する検察庁の所在地を管轄する地方裁判所に、司法警察職員がした通信の傍受に関する処分に不服がある者はその職務執行地を管轄する地方裁判所に、その処分の取消し若しくは変更又は傍受の実施の終了を請求することができるものとすること。
十三
 裁判所は、傍受の処分を取り消す場合において、次の1から3までのいずれかに該当すると認めるときは、検察官又は司法警察員に対し、その保管する刑事手続用記録及びその複製その他の刑事手続用記録の内容を記録した物のうち当該傍受の処分に係る通信及びこれと同一の通話の機会に行われた通信の記録の消去を命じなければならないものとし、ただし、3に該当すると認める場合において、当該記録の消去を命ずることが相当でないと認めるときは、この限りでないものとすること。
 当該傍受に係る通信が、第三の二十二1から3までに掲げる通信のいずれにも当たらないとき。
 当該傍受において、通信の当事者の利益を保護するための手続に重大な違法があるとき。
 1又は2に該当する場合を除き、当該傍受の手続に違法があるとき。
十四
 十一及び十二による不服申立てに関する手続については、この法律に定めるもののほか、刑事訴訟法第四百二十九条第一項及び第四百三十条第一項の請求に係る手続の例によるものとすること。
十五
 傍受の原記録は、第三の十九による提出の日から五年を経過する日又は傍受が行われた事件に係る被告事件、刑事手続用記録若しくはその複製その他の刑事手続用記録の内容を記録した物が証拠として取り調べられた被告事件若しくは傍受に関する刑事の事件の終結の日から六月を経過する日のうち最も遅い日まで保管するものとし、原記録保管裁判官は、必要があると認めるときは、その保管の期間を延長することができるものとすること。
十六
 検察官、検察事務官及び司法警察職員並びに弁護人その他通信の傍受に関与し、又はその状況若しくは傍受をした通信の内容を職務上知り得た者は、通信の秘密を不当に害しないように注意し、かつ、捜査の妨げとならないように注意しなければならないものとすること。
十七
 通信の傍受に関する手続については、この法律に特別の定めがあるもののほか、刑事訴訟法によるものとすること。

第五 その他

 政府は、毎年、この法律に定める事項(傍受令状の請求及び発付件数、その請求及び発付に係る罪名、傍受の対象とした通信手段の種類、傍受の実施をした期間、傍受の実施をしている間における通話の回数、このうち第三の二十二1又は3に掲げる通信が行われたものの数並びに傍受が行われた事件に係る逮捕人員数)を国会に報告するとともに、公表するものとし、ただし、罪名については、捜査に支障を生じるおそれがあるときは、その支障がなくなった後においてこれらの措置をとるものとすること。
 公務員による通信の秘密の侵害罪についての付審判請求 捜査又は調査の権限を有する公務員がその捜査又は調査の職務を行うに当たり犯した電気通信事業法第百四条第一項及び有線電気通信法第十四条第一項の罪並びにこれらの罪の未遂罪を刑事訴訟法第二百六十二条第一項の付審判請求の対象とすること。
 この法律に定めるもののほか、傍受令状の発付、傍受がてきる期間の延長、傍受記録の封印及び提出、傍受の原記録の保管その他の取扱い、傍受の実施の状況を記載した書面の提出及び保管、通信の当事者に対する通知を発しなければならない期間の延長並びに不服申立てに関する手続について必要な事項は、最高裁判所規則で定めるものとすること。
 その他所要の規定の整備を行うこと。

第六 附則

 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
 第五の二は、この法律の施行後に公訴を提起しない処分をした事件について、適用するものとすること。


別表

 刑法(明治四十年法律第四十五号)第七十七条第一項第一号若しくは第二号前    段(内乱)の罪又はこれらの罪の未遂罪
 刑法第八十一条(外患誘致)、第八十二条(外患援助)又は第八十七条(未遂罪)の罪
 刑法第百八条(現住建造物等放火)の罪、その規定の例により処断すべき罪又はこれらの罪の未遂罪
 刑法第百二十六条(汽車転覆等及び同致死)の罪若しくは同条第一項若しくは第二項の罪の未遂罪又は同法第百二十七条(往来危険による汽車転覆等)の罪
 刑法第百四十六条後段(水道毒物等混入及び同致死)の罪
 刑法第百四十八条(通貨偽造及び行使等)の罪又はその未遂罪
 刑法第百九十九条(殺人)の罪又はその未遂罪
 刑法第二百二十条(逮捕及び監禁)又は第二百二十一条(逮捕等致死傷)の罪
 刑法第二百二十四条から第二百二十八条まで(未成年者略取及び誘拐、営利目的等略取及び誘拐、身の代金目的略取等、国外移送目的略取等、被略取者収受等、未遂罪)の罪
 刑法第二百四十条(強盗致死傷)若しくは第二百四十一条(強盗強姦及び同致死)の罪又はこれらの罪の未遂罪
 爆発物取綿罰則(明治十七年太政官布告第三十二号)第一条(爆発物の使用)又は第二条(使用の未遂)の罪
 盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和五年法律第九号)第四条(常習強盗致傷等)の罪
 大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)第二十四条(栽培、輸入等)又は第二十四条の二(所持、譲渡し等)の罪
 道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第百四条第二項後段の罪(一般乗合旅客自動車運送事業用自動車転覆等致死)又はその規定の例により処断すべき罪
 覚せい剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)第四十一条(輸入等)若しくは第四十一条の二(所持、譲渡し等)の罪、同法第四十一条の三第一頂第三号(覚せい剤原料の輸入等)若しくは第四号(覚せい剤原料の製造)の罪若しくはこれらの罪に係る同条第二項(営利目的の覚せい剤原料の輸入等)の罪若しくはこれらの罪の未遂罪又は同法第四十一条の四第一項第三号(覚せい剤原料の所持)若しくは第四号(覚せい剤原料の譲渡し等)の罪若しくはこれらの罪に係る同条第二項(営利目的の覚せい剤原料の所持、譲渡し等)の罪若しくはこれらの罪の未遂罪
 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第七十四条(集団密航者を不法入国させる行為等)、第七十四条の二(集団密航者の輸送)又は第七十四条の四(集団密航者の収受等)の罪
 麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第六十四条(ジアセチルモルヒネ等の輸入等)、第六十四条の二(ジアセチルモルヒネ等の譲渡し、所持等)、第六十五条(ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬の輸入等)、第六十六条(ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬の譲渡し、所持等)、第六十六条の三(向精神薬の輸入等)又は第六十六条の四(向精神薬の譲渡し等)の罪
 武器等製造法(昭和二十八年法律第百四十五号)第三十一条(銃砲の無許可製造)又は第三十一条の二第一号(銃砲以外の武器の無許可製造)の罪
 あへん法(昭和二十九年法律第七十一号)第五十一条(けしの栽培、あへんの輸入等)又は第五十二条(あへん等の譲渡し、所持等)の罪
十一
 高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第二十七条第二項後段(高速自動車国道損壊等による自動車転覆等致死)の罪
十二
 銃砲刀剣類所持等取締法(昭和三十三年法律第六号)第三十一条から第三十一条の四まで(けん銃等の発射、輸入、所持、譲渡し等)、第三十一条の七から第三十一条の九まで(けん銃実包の輸入、所持、譲渡し等)、第三十一条の十一第一項第二号(けん銃部品の輸入)若しくは第二項(未遂罪)又は第三十一条の十六第一項第二号(けん銃部品の所持)若しくは第三号(けん銃部品の譲渡し等)若しくは第二項(未遂罪)の罪
十三
 航空機の強取等の処罰に関する法律(昭和四十五年法律第六十八号)第一条(航空機の強取等)又は第二条(航空機強取等致死)の罪
十四
 航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律(昭和四十九年法律第八十七号)第二条(航行中の航空機を墜落させる行為等)の罪若しくは同条第一項の罪の未遂罪又は同法第三条第二項(業務中の航空機の破壊等致死)の罪
十五
 人質による強要行為等の処罰に関する法律(昭和五十三年法律第四十八号)第一条から第四条まで(人質による強要等、加重人質強要、人質殺害)の罪
十六
 流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法(昭和六十二年法律第百三号)第九条第二項(流通食品への毒物混入等致死傷)の罪
十七
 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号)第五条(業として行う不法輸入等)の罪
十八
 化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律(平成七年法律第六十五号)第三十八条(化学兵器の使用)の罪
十九
 サリン等による人身被害の防止に関する法律(平成七年法律第七十八号)第五条第一項(発散させる行為)又は第二項(未遂罪)の罪
二十
 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の罪(同法律案要綱骨子第二の一3、4若しくは6に掲げる罪に係る一(組織的な殺人等)の罪又はこれらの罪(一4に掲げる罪に係るものを除く。)の未遂罪)

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